ドナルド・E・スーパーの理論

年表の活用の話に移る前に、私が影響を受けた「役割」についての考え方を3つご紹介します。

 

うち2つは、キャリアカウンセリング養成講座で学んだ

ドナルド・E・スーパー
L・サニー・ハンセン

の考え方。
そして、名著「7つの習慣」の作者である

スティーブン・R・コヴィー

の考え方です。

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1.ドナルド・E・スーパー

 

米国のキャリア研究家であるスーパーの理論は、JCDA(日本キャリア開発協会)が取り上げているキャリアカウンセリングの理論の中でも、最もクラシカルで包括的な考え方です。私は勉強会の中で、彼の理論を「ベーシック」と呼んでました。

 

スーパーは、キャリアディベロップメント(職業的発達)において最も重要な要素は「自己概念」であるとしました。

自己概念とは

「自分は何者か?」
「自分はどういう存在であるか?」

といった自己イメージのことです。

 

良い職業選択を行うには、自分の興味・能力・価値観を理解することが重要で、それに適合する職業を見つけることが求められます。

・自分はどんな仕事をしたいのか
・自分はどんな仕事ができるのか
・自分は仕事において何を大事にしたいのか

そうした問いに対する自分なりの考えを「職業的自己概念」と呼びます。

 

この職業的自己概念が肯定的・明確である時、自分にとって正しい職業選択を行うことができます。一方、職業的自己概念が否定的・不明確である時、誤った職業選択を行ってしまいます。これが、スーパーの考え方の基本的な部分です。
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そして、スーパーは職業的自己概念を考える上で、二つのモデルを提唱しました。

ライフステージ(キャリアの長さ)
ライフロール(キャリアの幅)

です。

 

「ライフステージ」とは、年齢による人生段階を「成長期」「探索期」「確立期」「維持期」「下降期」 の大きく5つに分け、その位置づけにおける自分の状況・環境を見つめるというものです。そして、「ライフロール」はその名の通り人生における「役割」から自分の状況や環境を見つめるというものです。

 

スーパーの考えでは、

・人生における役割は、様々な場面で演じられ
・複数の役割を同時に行っており
・役割をいくつか選んで組み合わせることで自己概念を実現しようとする試みをキャリアとする

とされています。「人は人生において複数の役割を、長期にわたって果たしている」とし、それを虹に例えて説明しました。(これを「ライフ・キャリア・レインボー」と呼びます)

 

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スーパーは、代表的な「役割」として、

・ホームメーカー(家庭人)
・配偶者
・職業人
・市民
・余暇を楽しむ人
・学生
・息子、娘

の7つを挙げています。

アメリカの文化背景がベースになっているため、日本ではなじまない面もありますが、要は人には「職業人としての顔」の他に「家庭での顔」「地域社会での顔」「個人としての顔」があるということです。
私がスーパーの理論で有用だと思うのは、こうした「役割」を

・選んで
・組み合わせて
・同時に果たす

という点です。

 

職場・家庭・地域などでの役割に加えて、「自分の中で決めた、自分の役割」も加味し、そのバランスを取ることで、夢や目標などの願望に結びつく行動を停滞させることなく、前へ進めていく。その積み重ねが自己実現につながる、という私の考えにおいては、役割を選択し、組み合わせて、同時に果たしていくというスーパーのキャリア形成のモデルは、大いに学ぶべき考え方となりました。