「やるべきこと」は細かく砕いて積み上げる

前回、モチベーションは「上がる」ものではなく、「上げる」ものとして捉え、

  • 思考
  • 感情
  • 行動

の3つをコントロールすることによって、「スキル化」できるというお話をしました。

今回から3回に分けて、スキルとしてのモチベーション・コントロールについて述べていきます。

本日のテーマは「思考のコントロール」です。

頭の中を整理する

モチベーションが低下する要因の一つとして、「思考の不明確さ」があります。

最終的にやるべきことはわかっていても、そこに至るまでの細かな過程が整理できていないと、具体的な行動になかなか結びついていきません。

その結果、仕事が思うように進まないことに苛立ちを覚え、モチベーションはみるみる低下していってしまいます。

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これを回避するためには、次の3つのステップを経て、自分の頭の中を整理する必要があります。

1.細分化・・・手に負えるレベルになるまでタスクを細かくする
2.構造化・・・細分化したタスクを順序づけ、並び替える
3.可視化・・・構造化したタスク群を目に見える形にする

「これならできる」と思えるまで、細かく砕く

思考を整理する最初のステップは「細分化」です。言い換えると、小さく・細かくするということです。

思考が原因でモチベーションが低下する要因は、

  • 全体像が把握できず、「どこまでやればいいのかわからない」と思ってしまう
  • 全体像が把握できていても、「どこから手をつけていいのか」わからず途方にくれてしまう

という2点が挙げられます。

いずれの場合も、取り組む対象が「大きすぎる」ことが原因です。したがって、まずは「やるべきこと」を小さく・細かくしていくことからはじめます。


例えば、あなたがメーカー企業の企画部で働いているとします。

そしてあなたは、取引先に対して新製品をお披露目するイベントの統括をすることになりました。

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これまで先輩社員のアシスタントとして仕事をしてきたあなたにとって、プロジェクトの統括は念願の仕事です。待ちに待ったチャンスがやってきました。

あなたはやる気に満ちあふれ、さっそくプロジェクトの全体スケジュールを描くことにしました。

さて、どこから手をつけましょう。

ゴールは非常に明確です。イベントを開催する、ただその一点です。

しかし、よくよく考えはじめると、プロジェクトを実現するためにやらなければならないことは非常に多岐に渡ることに気づきます。

  • イベントを開催するためには、日時を決め、場所を確保しなければなりません
  • 招待客のリストを作成し、招待状を送り、出欠を取りまとめなければなりません
  • イベントでは、どんな進行で、どんな演出で、どんな時間配分で新製品を紹介するのか、プログラムを練らなければなりません
  • イベントは一人では開催できません。受付係、誘導係、司会、プレゼンター、舞台裏・・・スタッフの役割を決め、必要な人数を割り出し、それを誰にするかを決め、依頼をしなければなりません

あれもしなきゃいけない。これもしなきゃいけない・・・

何から始めれば良いのか、あなたは考えているうちに億劫になってしまいました。


大きな物事に取り組むためには、まずやるべきことを片っ端から列挙していく必要があります。

とはいえ、ただ列挙するだけでは不十分です。

例えば、「場所の決定」ひとつとっても、具体的に何をしたらいいのか、このままではまだイメージがつきません。

  • 候補場所のリストを作成する
  • 日時と人数から最適な場所を選ぶ
  • 会場を手配する

と、イメージが具体的になるまで、さらに細かくしていく必要があります。

どこまで細かくするのかというと、

なんだ、こんなの簡単じゃないか

と思えるまでです。

やるのが億劫に感じるようであれば、まだそのタスクの内容を正確にイメージしきれていないということです。

不透明な部分、描ききれない部分があるうちは「未知」の状態が残っており、それが「不安」となって、面倒くささや先送りを招いてしまいます。

「こんなの、やり始めたらすぐに終わるじゃないか」

と思えるくらいまで、プロセスを細かく、細かくしていきましょう。

なお、この細かくした小さなタスク・行動のことを「ベビーステップ」と呼びます。

体系立てて順序づける

やるべきことを細分化したら、次にそれを「構造化」していきます。

構造化のプロセスは下記の2つです。

1.グルーピング
2.階層設定

まず、細分化したタスクを似たような系統でまとめます。これを「グルーピング」と言います。

細分化の段階では、とにかくタスクを細かくしていくことに注力しています。中には重複しているタスク、似たようなタスクが混在している場合もあります。

ただ細かくしただけでは、どれがどれとつながるのか、どれの次にどれが必要なのかが、よくわかりません。

そこで、一度パーツに分解してバラバラにし、再び整理しながら似たようなものを寄せ集めるのです。

次に、グループの中を次元の高いものと低いものに分け、低次のタスクのかたまりが、高次のタスク完了を意味するように組み上げていきます。

これを「階層設定」といいます。

例えば、

  • 招待状の文面とデザインを作成する
  • 招待状の資材を調達する
  • 招待状の印字を行う
  • 招待状の封入・封緘を行う
  • 招待状を投函する

というタスクをすべて完了させれば、「招待状を発送する」というひと塊の高次のタスクが完了することになります。

一目で見て全体像がわかるようにする

構造化を終えたら、それを一目で見てわかる状態に書き出します。

これが「可視化」のプロセスです。

タスクを細分化することで、一つひとつの小さなタスクに集中して取り組むことができます。

しかし、最終的な目的はすべてのタスクを完了させ、プロジェクト全体を完了させることです。

  • 全体としてどれくらいのタスク量があるのか
  • いま、どこをやっているのか
  • あとどれだけ完了させればすべて終わるのか

がすぐに把握できない状態でいると、先に進んでいる感じがせず、次第に意欲の減退を招いてしまいます。したがって、これらをすぐに確認できる状態にしておく必要があります。

そこで、構造化したタスク群を図にまとめ、細部と全体の両方を一目で確認しておくようにしておきます。

イメージとしてはこのようなものです↓

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この一連のプロセスを「ロジカルシンキング(論理的思考)」と言います。

「モチベーションが上がらない」「やる気がおきない」原因のひとつは、やろうとしていることの全体像と細部が明確に把握できていないからです。

大きな塊となっているひとつの物事を細かく分解して、それを整理しながら積み上げていくことで、全体像と細部の両方を整然と捉えることができます。

これが「必ず終わる」という安心感につながります。言い換えれば「見通しがつく」ということです。

あとは、「なんだ、こんなの簡単じゃないか」と思えるベビーステップを、一つひとつ積み上げていくだけです。

思考を整えることによって、モチベーションを意図的に「上げて」いくことができるのです。

次回は、モチベーションをスキル化する2つめの要素となる「感情のコントロール」についてお話いたします。

本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。