時間を短縮するために、まずは時間を投入せよ

仕事の能率を上げ、生産性の高い仕事をしようと試みる時、今やっている仕事の工夫や改善を考えるかと思います。

これ自体は決して間違いではないのですが、すぐに工夫や改善を図ろうとしても思うようにいかないこともしばしばです。

仕事の能率を上げ、時間を短縮するためには、まずは十分な時間を投入する必要があります。

一見、矛盾しているように思えるかもしれませんが、時間の投入が不十分なうちは能率を上げることは困難です。

逆説的ですが、時間を短縮するためには、まず時間を投入しなければならないのです。

労働の価値創造量を高める

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生産性 = 価値の創造量 ÷ 資源の投入量 

で決まります。そして、この公式の分子と分母はそれぞれ、

価値の創造量 = 総労働量 - 付帯業務量

資源の投入量 = 能力 × 時間

により導かれます。

(詳しくは以前の投稿をご覧ください↓)

最低限のことを全力で
昨年、電通の若手女性社員が過労自殺した事件を機に、「働き方改革」や「ワークライフバランス」が一層声高に叫ばれるようになりました。 この...

生産性を上げるためには、まずは付帯業務を極限まで削減・軽減し、価値創造に直結する業務により多くの時間が投入できるように業務の中身を調整します。

とはいえ、付帯業務の削減はある一定の水準で限界が見えてきます。

付帯業務を完全にゼロにすることは極めて難しく、また仮にゼロになったとしても、本業から生み出す価値や質や量はそれとは別問題です。

付帯業務の削減により業務改善を進める一方で、投入した時間に対する価値創造をより高い水準に引き上げる努力も必要です。

労働の本質は「時間の投入」

前述の通り、価値を生み出すための資源の投入量は

能力 × 時間

によって決まります。

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単純な例を挙げてみましょう。

能力10のAさんが、10時間の労働を行った場合、生み出す価値の量は、

10 × 10 = 100

となります。

一方で、能力1のBさんが、100時間の労働を行った場合も、生み出す価値の量は、

1 × 100 = 100

となり、生み出す価値の量は同じ水準になります。

これは、AさんはBさんに比べて10倍の生産性の高さであることを意味します。

ここで「能力と時間のどちらが労働の決め手となるのか」を考えてみます。

どんな能力水準の人であっても、能力がゼロということはありません。

仮に、能力が0.01の人であったとしても、10,000時間を投入すれば、

0.01 × 10,000 = 100

となり、100の価値を生み出すことができます。

たとえ難易度が極めて高い仕事であったとしても、無制限に時間をかけて良いのであれば、能力が未開発な新入社員であっても、いつかはその仕事を完遂することが可能です。

しかし、能力10,000の極めて優秀な人であったとしても、時間の投入がゼロであれば、

10,000 × 0 = 0

となり、価値の創造量はゼロとなります。

能力ゼロは現実には考えにくいですが、投入時間ゼロは起こりえます。

考えているだけで何も実行しなければ、労働量はゼロだからです。

つまり、労働の本質は「時間の投入」なのです。

そして、能力というのは、投入時間に対する価値創造量を高めるためのレバレッジ(てこ)に過ぎないのです。

投入しているものはすべて「時間」

ここで、話を生産性の向上に戻しましょう。

生産性 = 価値の創造量 ÷ 資源の投入量
= 価値の創造量 ÷ ( 能力 × 時間 )

であるため、生産性を高めるためには、

能力を上げて、時間を削減する

ことが必要になります。

投入できる時間には限りがあります。1日は24時間が限度であり、そのすべてを労働に投入することもできません。

レバレッジとなる能力を引き上げて、時間あたりで生み出す価値の量をより大きくする。

これが生産性の向上の本質です。

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すると、次に考えなければならないのが、いかにして能力を高めるかです。

能力とは、「ある特定の行為を、期待した通りに、再現性をもって実現できる力」を指し、

能力 = 知識 × 経験

と表すことができます。

ここで重要なのは「再現性」です。

やったことがたまたまうまくいったとしても、それは偶然の産物であり、能力によるものではありません。

能力があるということは、いつでも同じ期待効果を発揮するということであり、再現性があるということなのです。

十分な知識がないままに、やみくもに経験だけを重ねても、再現性のある「能力」として効果を発揮することは困難です。

一方で、知識が十分にあっても、一度もやったことがなければ、それもまた能力として発揮することはできません。

「わかる」と「できる」の間には大きな隔たりがあり、実際にやったことがあるという経験の量が、再現性を大きく左右します。

そして、ここからが重要なことですが、この「知識」も「経験」も習得するには「時間」が必要なのです。

知識を習得するためには、まずは時間を投入して、勉強や学習をする必要があります。

また、経験とは積み重ねた時間そのものです。

すなわち、

能力 = 知識 × 経験
= 時間 × 時間

であり、

資源の投入量 = 能力 × 時間
= 時間 × 時間 × 時間

となって、労働に投入しているものはすべて「時間」なのです。

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能力は時間効果を高めるためのレバレッジであると述べましたが、その能力を得るためには先行して時間を投入する必要があります。

結局のところ、価値創造をするための資源の投入要素とは、

  • 先行して時間を投入して、能力に転じるか
  • 現在の時間を投入して、労働を行うか

という、時間の投入タイミングの違いに過ぎないのです。

まとめ

能率を上げ、生産性を高い仕事をするために、仕事の工夫や改善を図るということは、投入時間にレバレッジをかけるための能力を高めることを意味します。

そして、能力を高めるためには、十分な知識と経験が必要であり、それらを得るためにもまずは時間の投入が欠かせないのです。

仮に、あなたが1,000の価値を生み出す仕事を担っているとします。

能力が10の状態で、この仕事を完遂しようとするならば、

仕事量1,000 ÷ 能力10 = 100時間 が必要となります。

しかし、この仕事に取り組むにあたり、10時間かけて理論や手法を学び、能力を20に高めるとすれば、

勉強時間10 + (仕事量1,000 ÷ 能力20 ) = 60時間

となり、40時間分の生産性向上を果たすことができます。

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目の前の仕事をしっかりとやることはとても大事です。

一方で、自分の時間のうち一定割合を能力開発に確保し、先行投資として時間を投入することで、将来の仕事に対するレバレッジとしての能力を磨いていくことも、常に心がけておく必要があります。

工夫や改善も大切ですが、それを可能にするための自分の能力を常に高めようと試み、能力開発にもしっかりと時間を投入する。

何事にも近道はありません。生産性を高めるためには、まずは時間の投入が必要なのです。

本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。