聴く、訊く、待つ ~受身な人の主体性を引き出す方法~ (前編)

先日、ある企業様で新入社員の指導担当者向けの研修を行いました。

数回のシリーズに分けて実施するコースで、今回のテーマは「面談」。

いかに聴き、いかに伝えるか。

セールスの研修でも同じようなテーマで講義を行いますが、人の育成についても、やはり重要なのは意思の伝達交流、すなわちコミュニケーションだと言えるでしょう。

若い世代は受け身なのか?

一般論としては、「最近の若い方は受け身の方が多い」と耳にします。

  • 言われたことはやるが、それ以上のことを自分からしない
  • 与えられるのを待っていて、自分から求めようとしない

実際に新入社員や若手の方々と接していると、必ずしもそんなことはないと思うことも、たびたびあります。

待ちの姿勢に見えるのは、一部の表面的な部分です。必ずしも本質的に受け身なわけではありません。

自分から手を挙げたり、積極的に自分の意見を表明される方も散見されます。

しっかりと耳を傾ければ、惜しげもなく自分の考えを話してくれます。

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それでも、全般的に受け身であるかのように映ってしまうのは、

前提としてのコミュニケーションが不足しているからに他ならないと、私は考えます。

管理職の多くがプレイングマネージャー(自分自身も業務担当や数値目標を担う管理職)になったことで、部下や後輩などチームのメンバーと話をする機会が減っている傾向にあります。

新人や若手が聞きたいことがあっても、話したいことがあっても、上司は忙しすぎて時間がとれない。そもそも職場にいないことも少なくないでしょう。

その一方で、環境変化が消極的な姿勢を後押ししています。

景気が上向きだった頃に比べると、仕事でチャレンジをできる機会が減っています。

コンプライアンス(法令順守)志向が強くなりすぎて、安全で確実な取り組みが好まれる風潮にもなっています。

口では主体的な思考や行動を求めていると言いながらも、実際に主体性を発揮して行動すると、「余計なことをするな」「勝手なことをするな」と言われてしまう。

これでは、受け身の姿勢に映っても仕方がないというものです。

自分の口から発してもらう

人はどのような時に「主体的」になるのでしょう。

端的に言えば、

「自分の考えや感情に基づいて行動している時、その行動は主体的になる」

と、私は考えています。

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これは必ずしも、本人のオリジナルのアイデアに基づくことを意味するわけではありません。

  • 会社から与えられた数値目標
  • 上司から指示された業務内容
  • チームの会議で決定した取り組み

であったとしても、そこに当事者意識、すなわち参画意欲や自分にとっての重要性があれば、それは

「自分の考えや感情に基づいて行動している」

と言えます。

その鍵となるのは、

自分の口から発せられたか、どうか

です。

人は概して、自分で決めたことには意欲的になるものです。

意向のすり合わせが十分になく、上司や先輩から一方的に伝達されたものであれば、

その判断や決定に本人が「参加」する余地がありません。

俗に言う「やらされ感」での仕事になってしまいます。

それでも、本人が自分の仕事や人生に明確な指針を持ち、

日々の行動に自律性を発揮できる方であれば、自らの意思で行動に向かうかも知れませんが、

残念ながら、そういう方は若い世代に限らず、そう多くはお見受けできないように思います。

そうであるならば、いかにして、任せたい仕事や期待している行動を、若い世代の

「本人の口から発してもらうか」

という働きかけが、上司や先輩に求められていると言えるでしょう。

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本人の口から話を引き出すには、どのようにしたら良いのでしょうか。

その答えは、「聴く」こと、「訊く」こと、そして「待つ」ことにあります。

次回、続きをお伝えいたします。

本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。