人が寄ってくる人、人が離れていく人

コンサルタントの職に就いてから、いろいろな業種、職種、役職の方にお目にかかるようになりました。

一日の研修やセミナーなど、一期一会の出会いが多いですが、長期的なプログラムや定例のコンサルティングなど、同じ方に何度もお会いするケースも少なくありません。

ある程度付き合いが長くなると、クライエント様の人間関係が伺えることがあります。

事業内容や組織風土によって多少の違いもありますが、周囲から一目置かれる人、人の信頼や尊敬を集める人には、概ね共通点があると気づきました。

それは、そういう方々には、少なからず「謙虚さ」が感じられるということです。

必要以上にへりくだったり、下手に出たり、卑屈になったりすることが謙虚さではありません。

良い謙虚さは、自分に対する自信と、他人に対する敬意や配慮を併せ持っています。長期的に成功する人、人が寄ってくる人には、「堂々とした謙虚さ」が感じられます。

逆に、人が離れていく人には自信過剰、横柄、不遜、あるいは卑屈さや無気力が見て取れます。こうした方々が短期的に成功を収めることはあるかもしれませんが、長続きしません。

やはり、最後に問われるのは人間性なのだなと思います。

多くの方を観察している中で、良い謙虚さをお持ちの方には、3つの特徴があると考えるに至りました。

  1. 向上心
  2. 他人の尊重
  3. 美意識

目にとまる方は、このすべてを備えているように思います。

1.向上心

成果をあげる人、周囲の目に止まる人は、自分の仕事に対して「高い基準」を設けています。

決して現状がダメだというわけではなく、できることを精一杯やって、一定の成果をすでに得ている。しかし、そこで安易に満足せず、さらなる高みを目指す。成功する人は向上心が旺盛です。

そうした方は、世の中上には上がいることを心得ていて、かつ自分もそこにたどり着くことができると信じています。

自分の仕事に高い基準を設け、より価値ある仕事を、より生産的に行うにはどうしたら良いかを考え続けています。結果に焦点を充てているから、自分のやり方やプライドに固執することなく、より良い考え方、より良い方法があれば、素直にそれを取り入れようとします。

したがって、他人の助言やフィードバックに対しても謙虚な態度や姿勢を示すことができます。そして、この姿勢がますます周囲の関心や支援・協力を呼び寄せ、さらなる前進につながるのです。

一方、向上心のない方は現状に満足し、周囲の言うことに耳を傾けません。今で十分だと思っていて、現状維持を図っているから、余計なことを言ってくる人を拒絶します。

また、仕事の成果に対する基準が低いので、必要以上の自尊心を持ってしまい、周囲に対して不遜な態度を示すこともあります。当然、こういう方からは人が離れていきます。

2.他人の尊重

成功する人は、一人でやれることの限界を知っています。

どれだけ能力が高く、バイタリティがあったとしても、自分だけでできることには限りがあります。より大きなこと、より多くのことを為そうとするならば、他人の支援や協力は不可欠です。

良好な人間関係を保ち、お互いが気持ちよく仕事をやりあえるようにしておくことが、どれだけ効果的を知っているからこそ、周囲の一人ひとりとの関係構築を大切にします。そして、それができるかどうかの決め手となるのが、相手に対する敬意や尊重の姿勢です。

誰一人として、自分と同じ人間はいません。すべての人が、異なる考え方、異なる感受性、異なる欲求を持っています。したがって、真剣に仕事を進めようとするならば、細部の衝突は付きものです。

また、物事の優先順位や能力の違いから、自分が期待している行動や結果が得られないこともままあります。しかし、それはその人の置かれている状況や判断に基づいた結果であることを前提に置かねばなりません。

成功する人は、相手の立場や意見を尊重し、丁寧に耳を傾け、相手を理解しようと努めます。たとえ自分の言い分があったとしても、まずは相手を理解することを優先するのです。こうした「相手を一個人として尊重する姿勢」が信頼関係を構築します。自身の成功はその結果として返ってくるものです。

一方で、他人への尊重が足りない方は、まず自分の主張からはじめます。相手の言い分に耳を貸さず、話を一方的に打ち切って、結論を急ごうとします。常に自分の主義主張が優先なのです。

相手を自分と同等以上に扱う。これは謙虚さがあってはじめて為し得ることです。

3.美意識

成功する人は、自分自身や仕事に対して「美しさ」を追求します。

人の印象の大部分は「見た目」によって左右されます。

服装、髪型、靴、装飾品などの身だしなみ、立ったときや座ったときの姿勢やお辞儀、手癖や足癖の有無など、外見上のあらゆる要素が、相手の仕事への姿勢や力量を推し量る要因となり得ます。

私自身、たとえ有能さが感じられる方であったとしても、髪がボサボサ、靴が老朽化している、猫背、がに股など、清潔感を損なう印象であれば「この人と一緒に仕事をしたくない」と思ってしまいます。

高い美意識を持ち、「スキがない」外見を保つだけでも、信頼度が大きく向上します。

また、美意識は外見だけでなく、言葉づかいや人への態度にも表れます。

例えば、飲食店やホテルなどでスタッフに横柄な態度をとる方をたびたび見かけますが、その一言だけで「この人は仕事できないだろうな」と感じてしまいます。デキる人は、一言の言葉づかいですら美しいです。

また、周囲に人が集まる人は、人に親切にしてもらったらすぐに「ありがとう」と返します。何かをしてもらうのを当たり前とせず、素直に謝意を示す。自分も一人の人間にすぎないとわきまえているから、謙虚に他人に接することができるのです。

加えて、成功する方は仕事の成果にも美しさを感じます。

例えば、資料ひとつとっても、フォントや文字の大きさを整える。過度なデコレーションをしない。印刷設定をしっかりと整えておく。簡潔で読みやすい文章を書くなど、受け取る側への配慮が感じることもあります。こうした丁寧さこそが、相手を尊重する謙虚さの表れです。

一方、仕事のできない方は雑な資料を平気で納品してきます。書体が整っていない、印刷したら途中でページが切れる、ダラダラと長い文章が続くなど、自分が仕上げることしか考えず、受け取った側のことまで考えが及ばないことが容易に見て取れます。

美しさにこだわることが、自分の仕事の質と評価を大きく高めてくれるのです。

物事の成否は、個人の力量だけでなく、周囲の人との人間関係によっても決まります。謙虚さを持って相手と関わり、お互いが気持ちよく仕事ができるようにする。一人ひとりへの丁寧な接し方が、人徳を高め、それがやがて成果となって自分のもとに返ってくるのです。

本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。