「反省」と「内省」の違い

先日、キャリアコンサルタント資格の更新研修に参加してきました。そこで講師の先生に教えていただいた「反省と内省の違い」が印象深かったので、ご紹介したいと思います。

私もたびたび、研修や講演の中で「内省」という言葉を使用しているので、あまり深く考えて使っていなかったなと「反省」です。

「反省」だけではなく、「内省」を行う

調べてみると、「内省」という言葉の意味を、「反省すること」と説明している辞書もあります。しかし、両者がまったく同じ意味なら、用いるのは「反省」で良いわけです。異なる表現をするということは、やはり異なる意味があると考えるべきでしょう。

「反省」とは、悪い点を見直し、良いものとするように改めることです。つまり、問題解決を目的とした行為であり、物事の「やり方」に焦点をあてて考えます。

一方、「内省」は心の「あり方」に焦点をあてて考えることです。そこに「良い」「悪い」の区別はありません。目的は問題解決ではなく、自分の中にある価値観、本音、正義、真理などの存在に気づいたり、認めたりすることにあります。

仕事を行う上で、あるいは生活を営む上で、人間関係を良好なものにする上で、反省は重要です。人は反省し、意識や行動を改めることによって、物事や状況のさらなる改善を図ることができます。

しかし、反省は問題解決のために行うものです。「あの時、こうしておけば良かった」「次からは、こういう対応をしよう」など、まず悪い結果がありきで、それを良くしたいという目的があってはじめて成立するものだと言えます。

そのため、良し悪しが明確でないものに対して「反省」することはできません。

  • 自分は何をしたいのか。将来、どういう道に進むべきなのか
  • 自分のとった行動は、果たして正しかったのか、誤っていたのか
  • 相手がとった態度は、どのように受け止めれば良いのか
  • なぜ、この仕事をしているのか。この組織に所属しているのか

こうしたことを考えるためには、自分の心と向き合って「内省」することが求められます。

自分の「あり方」を考える

悪い結果になった時、あるいは意図しない結果になった時、多くの場合、「やり方がまずかった」と「反省」を行います。

もちろん「やり方」も大事です。仕事はもちろん、家事にしろ、趣味にしろ、何事も正しい手順で行わなければ、正しい結果を得ることは難しいでしょう。

しかし、「やり方」が正しければ良いというわけでもありません。むしろ、「やり方」以上に「あり方」が大切ではないかと思います。

例えば、非常にプレゼンテーションやクロージングの技術に優れた営業担当がいたとしましょう。説明はわかりやすく、質問にも的確に応えてくれて、とてもスムーズに商談が流れていきます。

しかし、この営業が内心「売れてしまえば、その後お客さんがどうなろうと知ったことではない」という気持ちで商談を行っていたら、果たしてどうでしょうか。

「いやに話がうまいなあ」と、何かが「臭う」かもしれません。また、仮にその場の1回は商談が成立したとしても、その後も継続して関係が続くことは考えにくいでしょう。

逆に、説明はそれほど上手でもなく、商談の進め方もどこかたどたどしさを感じるものであったとしても、心の底から「お客さんに喜んで欲しい」「幸せになって欲しい」と思って仕事をしていたら、その姿勢や心構えは相手にも伝わるものです。

「この人から買いたい」「次も、この人にお願いしよう」と、良好な関係が構築されて、長期的な成功を収めることになります。つまり、「あり方」は「やり方」を凌駕するのです。

人の欲求は、地位や財産など「何を持つか」に表れます。しかし、所有物は成功の「結果」に過ぎません。結果を得るためには、「何をするか」という行動や言動が問われます。

そして、言動はその人が「どういう人であるのか」という存在そのものから生まれるものです。つまり、成果を得る、成功するといった「結果」は、その人の「あり方」が「原因」となって生み出されるのです。

  • 自分は、何のためにこの仕事をしているのか
  • 自分は、誰に何の貢献をしたいのか
  • 自分はこれから、どういう道に進みたいのか

自分の心の「あり方」を知るためには、自分の目的や目標、価値観などの「自分軸」に気づくことが大切です。

そのためには十分な時間をかけて、自分自身と向き合い、自分自身と対話する「内省」を行うことが必要です。

  • あなたはどういう人になりたいですか
  • あなたがやりたいことは何ですか
  • あなたが欲しいものは何ですか

ぜひ、じっくりと時間をかけて、内省をしてみてください。

きっと日々の過ごし方、人への接し方、世界の見え方が変わってくることと思います。

本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。